★report★豊田市美術館『奈良美智 for better or worse』
青空と緑の木々に夏を感じる愛知県・豊田市美術館では、現在「奈良美智 for better or worse」が開催中です。
愛知県立芸術大学出身の奈良さん。学生時代を過ごした長久手にほど近い美術館で開催されるこの展覧会は、作家ご本人によれば30年越しの「卒業制作」だそう。
展覧会冒頭では、高校時代に集めたというレコードたちや雑貨などが置かれた木の棚が並びます。
流れる音楽と一緒にその空間に入ると、不思議と奈良さんの作品の世界に続いているような空気や色を感じます。300近くものレコードが壁に飾られているのですが、“自分にとっては、これがある意味、「画集」だった”という趣旨のコメントが印象的でした。
会場では初期作品から最新作まで、ほぼ年代順に100点あまりの作品が丁寧に展示されていました。
きっと人それぞれで感じるものや惹かれる作品は異なると思うのですが、個人的には初めて観た初期作品に心動かされました。パンクやロックのような、トゲや青々しさを感じ、Grenn Dayを聴いた時のような気持ちになります。ここから今の作品まで続いているんだなぁと思うと、なんだか目の前の作品が宝物のように感じました✨
《Voyage of the Moon (Resting Moon) / Voyage of the Moon》の展示されている部屋にはびっくり。真っ白な豊田市美術館の空間が紺碧に包まれ、そこにお月様と小屋が現れます。
2012年に横浜美術館で開催された個展で、一番心動かされた「Blankey」にも”再会”できて嬉しかったです。
彼を見ていると、なんだか、自分の心の中にずっといた”友だち”のように感じるのです。
作品に自分を重ねたり、作品から感じる“音”や“光”、色に心動かされたり。会場には小さなお子さんからご高齢の方まで幅広い世代の方が来られていたのですが、自分も含めた一人一人が、奈良さんの作品たちと心で会話しているのをあちこちに感じました。
なかなか、こんな風に感じられる展覧会ってないのでは?と思います。
奈良さんの作品、一つ一つをゆっくりと楽しむことができる展覧会。
開催は9/24(日)まで。オススメです!!
展覧会については、「FLYING POSTMAN PRESS」(東京版・名古屋版)7月20日発行号でもご紹介しています。